何故モデラーは完成している(ように見える)モデルを配布しないのか[※配布予定前提の話]

これはあくまで「配布する」ということを前提としている場合の話であり、
そもそも「配布するつもりはない」モデルの話は含みません。

また個人的意見であり、これと異なる意見のモデラーも多くいることを予め明記します。
あくまで私の体験と、憶測です。全モデラーに般化して言えることではありません。
ご注意下さい。

あとついでに補足しておくと、未完成モデルを配布するなとかそういう話でもないし、
ここに書いてあることと違っても、それが悪いとか良いとか言う話じゃないので。
多分モデリングしてない人は「なんで?」って思うんじゃないかなーって思ったことの説明なだけだから!
誤解しないで!その銃を下ろして!


各種SNS、もしくは動画サイトのテスト動画で、
「このモデルもう完成してるじゃん」というモデルに遭うことは多々あると思います。
では、何故モデラーはそれを配布しないのか。

理由は「まだ完成していないから」。
モデリングをしたことがある人にはわかるとは思いますが、MMDユーザーのうち、
モデリングをしたことがあるのは2割にも満たないんじゃないかな、と勝手に思っています。
(※根拠などはない)
なので、ちょっとモデルができるまでの過程を説明してみようと思います。



モデリング、とは言いますが、正確に言うと、モデリングは動画用モデルの作成工程のうちの一つです。

01.元デザインを用意する。
 二次創作の場合は、資料集め。オリジナルキャラの場合はキャラデザです。
 ここに「下絵を描く」が含まれている人もいますが、
 「絵が描けないからモデル作ってる」勢もそれなりにいますし、
 そうでなくても下絵を描かない人もいます。

02.モデリング
 いわゆる「形を作る」作業です。粘土こねこね的な。
 一本の木から仏像を掘り出すように立方体を分割して形を作る人もいれば、
 ぬいぐるみを縫い合わせるように平面を貼っていく人もいます。
 モデルは頂点とそれを結んでできる平面(ポリゴン)で構成されています。
 モデリングソフトでは四角面が使用できますが、
 「確実にこれ」と定義できる面は三次元では三角面までです。
 なのでMMD用モデルは三角ポリゴンでできています。
 結局三角形の面の組み合わせで構成されています。

 この段階では、モデルはまだ塗装前のフィギュアです。
 色もついていませんし、動きません。

03.リギング(ボーン設定)
 人間でいうところの骨を作ります。
 (作ると言ってもこの場合形は関係なく、始点と終点を決める的な意味)
 MMD標準リグ(ボーン構造)が標準に合った親子関係で、
 標準に合った名前でないと、配布されているモーションを流し込めません。
 逆に言うと、配布モーションを流し込まなくてもいいモデルは、
 好きにボーン名を設定できますし、
 人型モデルではない場合に腕に腕ボーンの名前をつける必要はないです。

04.スキニング
 設定したリグとモデルの頂点を関連付けます。
 いわゆる「ウエイト塗り」「ウエイトアンカー設定」です。
 blenderは頂点の点ごとのウエイト設定と、
 ペンで色を塗るようにウエイトを設定することができます。、
 メタセコはよく知りませんが、箱(アンカー)で、
 ウエイトを関連付ける頂点を囲んで設定する方式です。

 この作業を行わないと、モデルはただの動かないフィギュアです。
 モデリングの段階で、どうポリゴンを割るか、
 ボーンをどの位置に入れるか、
 どの頂点をウエイトをどれくらいどのボーンに設定するか。
 これらで全てモデルの動きは変わってきます。
 なので、動かしてみたらこの頂点の位置じゃダメだった、
 分割数が足りなかった、などで、ポリゴンを微調整しながら進みます。

05.UV展開とテクスチャ
 モデルは3Dですが、テクスチャは2Dです。
 このモデルの3Dを2Dに落としこむ作業がUV展開です。
 洋服が型紙から立体を作るのの逆で、型紙起こしみたいな感じです。
 洋服の型紙のようにどこを切るのか、
 どうしても矛盾する場所も出てくるのでそれをどう処理するのか、
 などをちまちまやっていきます。
 この2D型紙と3Dモデルが対応しているので、
 その2D型紙の位置に合わせて色を塗るとテクスチャとして反映されます。

 実はこの前に材質分けをしないといけません。
 1材質1テクスチャなので、テクスチャを分けたい時は、
 材質も分ける必要があります。
 またtoon(影色)を変えたい、スフィアを変えたい、
 ここはオートルミナス対応にしたい、などがあれば、それごとに材質を分けます。
 「材質を分ける」というのは、「その面に材質を割り当て設定する」という意味です。

 ちなみに03と04は人によって順序が異なります。
 先にUV展開してしまう人もいれば、03の段階でどうせまたポリゴンが変わるから、
 UV展開してもやり直しなので、最後にやるっていう人もいます。
 あとテクスチャが入っているとモチベが上がるので早めにやるっていう人もいます。
 ぶっちゃけ灰色の塊いじっているより、彩色されているものをいじってる方が楽しいです。

 UV展開時にポリ割を変えたくなる時もありますし、
 UV展開後にポリ割を極端に変えると、UV展開を修正しなければならなくなったりします。
 
 なので、この段階でも02,04,05は行ったり来たり、やり直したりの並行作業です。


そしてこの時点で、他人には完成したモデルに見えます。
色が付いてる、動く、踊る。
まあ、ここで「もうできてるじゃん!」って感想になる気持ちわかります。
思うし。

実際はここから微調整に入ります。
やっぱり動かしてみたら見た目がなんか違う、とか、
顔の造形をブラッシュアップしたい、などもありますが、
配布するモデルは「自分以外のMMD慣れしていない人も使う可能性がある」
というための調整です。

自分で動かす分には、動かしたらマズいボーンの範囲、写したらブサイクな角度、
破綻してても見せなきゃいい箇所、こういう時はここをこうすれば直る、などがありますが、
配布する以上、「MMDに触るのがこのモデルが初めてなので操作に関してはよくわからない」
という人が動かす場合も大いにあります。
(※それが悪いという訳ではない)
そうすると
「(できるだけ)誰が気軽に使っても、それなりにちゃんと動くモデル」
にする必要があるわけです。

まあ、絶対にそうじゃなきゃいけないっていうわけでもないんですが。
ただ(自分は)破綻してると、あーーー!あーーー!!!!ってなるので、
できるだけ誰が動かしてもいい感じになるようにしたいんですよね。
要調整モデルだと、あーーーーーー!!ってなることが増えるので。

例えばこうなって(このポーズにするとスキニングとリギングがダメで服の下が見えちゃう)ても、
B82Te2ACQAA8H4d.jpg
この角度に腕を動かさないとか、こうなってる時はボーンの角度を修正してくれるとか、
カメラで映さないでくれるとか、自分ならできるけど、万人にそれを求めるのは無理じゃないですか。

ここの調整長い!めっちゃ長い!
「配布しないモデルは楽」ってモデラーが言うのは、ほぼここ!

うちのモデルで言うと、柴ドッグ提督動画で出てきたヨネスケさんとかが、
とりあえず動いて、それなりにヨネスケさんに見えるモデルです。
アップや止め絵で写すと出来が粗いのが分かりますが、一瞬しか出てこないし、
あえて顔はあまり映さないようにしたので、これで十分動画として見せられる。

だけど、全然配布できるものではない。
「あいうえお」とかに口動かないですし、まばたきもまともにしません。
でもそう使わないからいいんです。
自分で遊ぶ分には、静止画書き出ししてから、ペイントソフトで修正したりして遊べるんですけどね。


さて、延々とモデルの基本的な動きや形を修正したら、次は
06.モーフ(表情)の作成
 モデルのポリゴンが「あ」「い」「う」「え」「お」となるように、
 またここでも頂点を動かして形を作ります。
 モーフってプリセットみたいなもんです。
 配布されているモーションは、MMD標準モーフを想定して作成されているので、
 標準モーフが入っていないと、配布動画と同じ顔をしなかったりします。
 ここもほぼモデリングの修正作業みたいなものなので、延々と頂点を動かします。

 これができると、05の段階で踊らせても無表情で、まばたきもしなかったモデルが、
 口パクしたりまばたきしたり笑ったりしてくれるようになります。
 モデルに魂入ったなって感じがしてまたモチベ上がります。

07.物理演算の設定
 多くのモデラーが辛酸を舐め、「もうゴールしてもいいよね…」となるのが、ウエイト関係と物理演算!
 「剛体」という見えないものとボーンを関連付けます。
 ボーンに従って動く剛体と、ボーンが従って動く剛体存在します。
 ボーンに従って動く剛体が、体幹や腕など、
 物理演算で動くものが貫通しないようにするためのバリアみたいなの。
 ボーンが従って動く剛体が、布や髪の毛など、自動的に揺れてくれるためのものです。
 これらの剛体をボーンに関連付けていきます。

 剛体とボーンの関連付けが終わったら、次は剛体どうしの関連付け(joint設定)をします。
 ボーンが従って動く剛体は、何もしないと、床に落ちる。
 ボーンにくっついていく剛体に、物理演算する剛体を吊り下げてやる設定がjoint設定です。

 剛体とjointを合わせて物理演算の設定です。
 どちらかが変わっても動きが変わる。
 
 これがさーーー、突き抜けるんだわ。
 突き抜けるし、暴れるし、思った通りにひらひらしないし、激しく動くと動きすぎるし。
 これも「誰が触っても大丈夫」にするが本当に大変。
 だってどういうモーションを読み込ませるか想定なんてできないんですしおすし。
 自分がテストで動かしていたモーションで、
 「よし、良い感じだ…良い感じにひらひらだぞ…」と思ってても、
 別のモーション読み込んでみたら、
 「はい足が貫通しました!お疲れ様です!」とか一人で叫んでるわけですよ。
 一人で。
 逆に貫通しないように頑張ったら、ゆっくりめのモーションだと
 「このスカート、クリノリン(中世の骨組みの下着)入ってるのかな?」みたいになるわけですよ!!

 スカートのポリゴンをもっと細かくしないとダメなんだ!で、02に戻ったり、
 ボーンの位置とか本数がダメなんだ!で、03、04に戻ったりをまた繰り返します。

で、ここで「できたーー!」ってなって、動画を作り始めたら、なんかはみ出す…とか、
なんか動きがおかしい…とか、よく見たら「あ」のモーフで肩の一部が動いてる…とか、
やっぱり物理演算の動きが気になる…とか、色々出てきて、また微修正に戻ったりします。

以上が、大体のモデル製作の流れです。
この後は、配布後に「ここの動きがおかしいんですが…」っていうのを受けて、
即アプデするなどの、公開してから気づくやつとかが待っています。


ということで、「もうできてるじゃん!」って見えるようになってから、
本当に配布できるようになるまでって結構あるんだわ…っていう話でした。
なので気長に待ってね。


専任セットアッパー(ただし自分の思っていることを言葉にせずとも分かってくれる)が欲しいって、
割とみんな思ってると思ってる。




最後に念のためにもう一度書いておくが、
これはあくまで「配布する」ということを前提としている場合の話であり、
そもそも「配布するつもりはない」モデルの話は含みません。

また個人的意見であり、これと異なる意見のモデラーも多くいることを重ねて明記します。
あくまで私の体験と、憶測です。全モデラーに般化して言えることではありません。
ご注意下さい。

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No title

>よく見たら「あ」のモーフで肩の一部が動いてる

ありすぎてワロタw

No title

不完全が前提で
自分好みに直して使う

、、と、思ってたのが普通じゃなかったの? (´・ω`・)エッ?

P.S.

作者様を尊重して絶対配布なぞはしないで自分だけで遊んでますε- (´ー`*)フッ
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